セダンを再定義する、新型レクサスES

王道に、未来を宿す

レクサス・ブランドを代表するセダン、レクサスESがフルモデルチェンジされた。
未来を感じさせるスリークなスタイルへと生まれ変わり、電動化時代にふさわしい新たな価値を手に入れた新型ES500eに試乗した。
文・河西啓介(AUTO MATE) 写真・安井宏充

新しいセダンのフォルム

「時代は巡る」と言われるが、いま自動車の世界にもそんな流れが起きつつある。長らく続いたSUV全盛のトレンドが変化し、自動車の「基本型」と言われてきたセダンへの回帰が始まったように感じられる。
エンジンルーム、キャビン、トランクを明確に分けた3ボックススタイルには、高級車として長く支持されてきた合理性がある。乗員の快適性と実用性、そしてデザインを最大公約数でバランスさせたのが、セダンという車型なのだ。
新型レクサスESは、そのセダンを電動化時代に合わせて再定義したモデルである。
全長5140mm、全幅1920mm、BEVモデルでは全高1560mmという堂々としたサイズは、実際に目の前にすると、その数字から想像するような大きさや重さよりも、まず美しさが印象に残る。低く構えたフロントフェイスから、リアウインドウへ向かって跳ね上がるキャラクターライン。リアタイヤへ向かって伸びるブラックのアクセントは、ボディを視覚的に引き締め、低重心な印象を与えている。床下へのバッテリー搭載と室内の居住性を両立させるパッケージングを成立させながら、いかに美しいセダンをつくるか。そんな新型ESのデザイン思想が見て取れる。
実際このフォルムを見て、「セダン」と意識する人は少ないかもしれない。従来の価値観ではカテゴライズできない、そんな新しさが新型ESにはあるのだ。

1. ES500eは前後2つのモーターによるAWDシステム「DIRECT4」を採用。力強さと自然な操作感を両立した走りを実現する。 2. 水平基調のインテリアには新世代マルチメディアを採用し、シンプルで機能的な空間をつくり出している。 3. 静かなBEVの室内では、 マークレビンソンのサウンドシステムが豊かな音楽体験を提供する。 4. 2950mmのロングホイールベースによる後席の快適性とドライバーズカーとしての魅力もESの大きな特徴だ。

ナチュラルなEV

今回試乗したのはBEVモデルの「ES500e」。その運転感覚も外観同様、新しさを感じさせるものだった。一言でいうなら、すべてが「ナチュラル」なのだ。
モーターで駆動するEVには、瞬時に立ち上がる強力なトルクやスムーズな加速という美点がある一方、内燃機関に慣れたドライバーにとっては、アクセル操作に対する反応や減速時の感覚にちょっとした違和感を覚えることがある。
しかしESはアクセルを踏んで動き出した瞬間からブレーキをかけて止まるまで、すべての反応がとても自然なのだ。ステアリング操作に対して車体が素直に反応し、ドライバーの意図した通りに動いてくれる。電動車でありながらそのことを意識させないナチュラルさこそ、新型ES500eの新しさだと感じた。
さらに感心したのは乗り心地だった。床下に大容量バッテリーを搭載するがゆえの低重心と2950mmという長いホイールベース。その恩恵によって生まれる走りはまさにフラットライドというべき乗り味。路面の段差を越えるさい、衝撃をただ吸収するのではなく、車体全体がしなやかに受け止めているという感覚がある。
インテリアもまた、新しいラグジュアリーの方向性を示している。満艦飾の装備や装飾ではなく、必要なものだけを美しく配置し、素材感や光、空間そのものの質感で魅せるミニマルなデザイン。レクサスと長年にわたる関係を築いてきたオーディオブランド「マークレビンソン」のプレミアムウンドシステムは、EVならではのノイズレスな室内に豊かな音を響かせる。
「王道」とは変わらないことではなく、時代に合わせて変化しながら本質的な価値を守り続けることなのだ。レクサス創業以来の歴史を経て、伝統と先進を高次元でバランスさせるに至った新型ESを走らせ、「セダンの復権」という現象が、なんとも腑に落ちる気がした。

LEXUS ES500e
ES500eは、レクサスの基幹セダンES初のBEVモデル。前後2つのモーターによる四輪駆動システム「DIRECT4」により、力強さと自然な走行フィールを実現する。全長5140×全幅1920×全高1560mm。ホイールベース2950mm。価格830万円~

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