RENAULT GRAND KANGOO
ルノー・グランカングー

フランス生まれのマルチパーパス・ヴィークル、ルノー・カングー。その3列シート、7人乗り仕様が登場した。試乗インプレッションをお届けします。
文/河西啓介
大きさを感じさせない「軽やかさ」の理由
ヨーロッパでは“ルドスパス” (遊びの空間という意味)と呼ばれるカングー、その魅力は実用性と快適性、そして「移動する楽しさ」を高次元で共存している点にある。その資質を保ったまま、3列シート・7人乗りへと進化したのがグランカングーだ。
ボディサイズは全長4910×全幅1860×全高1810mm、ホイールベース3100mm。標準モデルに対して全長は420mm、ホイールベースは約390mm延長されている。数値だけ見れば堂々たるサイズだが、実車の印象は意外なほど軽やかだ。
その理由は、単純にボディ後半部分を伸ばしたのではなく、ボディ全体のプロポーションを崩さずに拡大している点にある。スライドドアが大型化され、開口幅は従来より約180mm広い830mmに達する。この設計が全体のバランスに寄与すると同時に、3列目シートへのアクセス性向上にも直結している。


望外にスポーティーなドライブ感覚
パワートレインは1.3リッター直列4気筒ターボ。最高出力131ps、最大トルク240Nmを発揮し、7速AT(EDC)と組み合わされる。全長5mに迫るボディに対して、さすがに排気量が小さすぎるのではないかという懸念は、いざ走り出すと払拭される。
発進から中速域までのトルクは力強く、速度の乗りもスムーズだ。ダウンサイジングターボを熟成させてきたルノーらしく、1.3リッターとは思えないほどの動力性能を発揮する。


さらに印象的なのは、ボディサイズを感じさせないドライバビリティだ。その体躯は大型ミニバン級だが、ステアリングを握り走らせたときの印象はハッチバック車に近い。ウィンドウ面積の大きさによる良好な視界もあり、市街地でも扱いにくさは感じなかった。従来のカングーに乗っていた人なら、ほぼ同様の感覚で運転することができるだろう。
従来のカングーを明らかに凌いでいるのは、その乗り心地のよさである。ロングホイールベース化によりしなやかさが一段と増している。とくに高速道路では路面からの入力を柔らかくいなし、穏やかな海原を進む船のように、ゆったりとした動きで巡航する。


日本のために用意された“観音開き”ドア
室内空間は、このモデルの最大の価値だ。3列すべてが独立した7シート構成で、2列目・3列目ともにスライド、折りたたみ、取り外しが可能。用途に応じて自在に空間を変化させられる。最大ラゲッジ容量は3050Lに達し、趣味の道具から長尺物まで対応できる余裕を持つ。国産ミニバンのような電動機構や複雑なアレンジ機能は持たないが、その分シンプルで直感的に扱える点はむしろこのクルマらしい。


日本のカングー・ファンにとって嬉しいのは、観音開きのダブルバックドアが採用されていることだ。フランス本国ではロングボディにこの仕様は存在しないが、日本市場の強い要望に応えて専用開発されたのだという。狭い場所でも開閉しやすく、カングーらしい道具感を強く印象づけるディテールでもある。
日本専用の仕様であるがゆえカタログモデルではないが、特別仕様車として今後も生産は継続される予定だ。
そして先日、ルノー・ジャポンから、さっそく限定車「グランカングー クルール」の発売がアナウンスされた。今度はフランスの郵便車に使われる鮮やかなイエロー、「ジョン・ラ ポスト」とシックなグリーンの「ヴェール・パリ」の2色が用意される。どちらも抽選販売で、詳細は5月にルノー・ジャポンのサイトで案内されるというから要チェックだ。
ルノー・ジャポン
www.renault.jp

(スペック)
ルノー・グランカングー
ボディサイズ:全長4910×全幅1860×全高1810mm
ホイールベース:3100mm
車両重量:1690kg
駆動方式:FF(前輪駆動)
エンジン形式:直列4気筒ターボ
排気量:1.3L(1333cc)
最高出力:131ps(96kW)/5000rpm
最大トルク:240Nm/1600rpm
価格:459万円














